「ニッケルのガスケットを探している」
ずいぶん前から、特に金メッキや銀メッキのガスケットをよく使われるユーザー様から、このようなご要望を度々いただきました。
伺った話では、貴金属メッキ層を剥離し銅のガスケットを冒してしまうガス雰囲気中で、かつアルミのガスケットでは耐えられない温度で使えるガスケットをお探しとのことでした。
なぜCF型フランジ用のニッケル製ガスケットが無いのか?
あるいは、販売されていても、なぜカタログに載る商品になり得ないのか?
当社でCF型フランジ用ニッケル製ガスケットの開発を始めて、その理由の一端が見えてきました。
CF型フランジ用ガスケットの材料として使おうとした場合、ニッケルには次のような不都合があることがわかりました。
・無酸素銅のガスケットなら、表面にある微細な擦り傷はフランジで締めつけてゆく過程で消えてしまうが、ニッケル製ガスケットの表面にある細かい擦り傷は、 かなり大きな締結トルクをかけても消えず、リークの原因となる。
・CF型フランジ用ガスケットの材料として最も一般的に使われている無酸素銅に比べてかなり固く、十分なシール面 積が得られないだけでなく、場合によってはフランジを痛める恐れがある。
ニッケルは優れた耐食性をもち、真空用構造材料として無視できない存在ですが、ガスケット材料としてはかなりの難物なのです。
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